透析外来のご案内

仁恵会 > 人工透析ひ尿器科じんけいクリニック > 透析外来のご案内
患者さんに生涯にわたり寄り添う医療、守り続ける医療

 人工透析ひ尿器科じんけいクリニックウェブサイト「透析外来のご案内」へアクセスいただきまして、ありがとうございます。院長の福士です。
 人工透析ひ尿器科じんけいクリニック透析室では、38床の透析ベッドで90数名(石井病院と合わせて110数名)の外来患者さんにウルトラピュアな水を使用した血液透析治療やオンライン血液透析濾過治療を施行しています。
 月水金は夜間透析含め変則3クール、火木土は1クールのみの施行です。入院治療が必要な場合はすぐ近く(徒歩2分)の関連の石井病院で、わたくしが出向いて主治医として治療いたします。
 また、バスキュラーアクセスの造設やメンテナンス、急な閉塞に対してわたくしが手術からフォローまでほとんどすべて主治医として施行します。ご自分で通院困難な方へは送迎車両もご用意いたしております。
 末期腎不全という極限状態におかれた生命体では、バスキュラーアクセス不全症、脳血管障害、急性~慢性心機能不全、虚血性心疾患、不整脈、消化管出血、易感染症(急性肺炎、急性胆管炎、急性腸炎、バスキュラーアクセス感染症)、悪性腫瘍、全身アミロイドーシス(破壊性脊椎関節症、手根管症候群、肘管症候群)、骨ミネラル代謝異常、重症下肢虚血症など、枚挙にいとまがないほど多岐にわたる合併症が生じえます。

 しかしそれでも、それゆえに、ひとりひとりの患者様のこれら全ての問題をもらすことなく正確に掌握し、おかれた状況の中で最善の一手を打ち続けること、少なくとも打ち続けようと努力し続けることは、主治医として最低限の使命と思っています。透析患者さんを診るためには、救急外来をマスターせねばならないとの思いから、これまで多くの病院で身を粉にして当直をこなし研鑽を積んできた経験も活かせるものと自負しています。日々変化する患者さんの病状に対し後手に回ることなく先手を打ち続けることを常に心がけ(ゆえに中央監視システムでの厳重なフォローに加えて、回診は連日行います)、QOLの向上、生存率の向上につなげたいと思っています。
 決して完全緩解することのない病(末期腎不全)と闘い続けねばならない透析患者さんに生涯にわたり寄り添う医療、守り続ける医療に心血を注ぎたいと思います。

人工透析診療時間

月・水・金 3クール
8:30 ~ 14:00 午前帯
13:30 ~ 18:00 午後帯
15:00 ~ 22:00 準夜帯
火・木・土 日中帯のみ
8:30 ~ 16:00 日中帯
8:30 ~ 14:00 日中帯

休診日:日曜日

臨時透析あり
旅行、帰省、出張などの場合は臨時透析を受け付けております。
まずはお電話にてお問い合わせください。

オンラインHDFのご案内

 末期的腎不全患者さんへの血液浄化法として、血液透析(HD)、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)がありますが、半透膜(この場合ダイアライザ)を通して濃度の異なる液体(血液と透析液)を接触させ、拡散現象を用いて、尿毒素を取り除こうとするのがHD、濾過現象を用いて、まるで満杯にお湯を貯められたお風呂の一方へ新しいお湯を注ぎ込み、反対方向へあえて溢れさせて、古いお湯を少しずつ綺麗なお湯へ浄化していくみたいなのがHF、HDとHFの両方を行うのがHDFです。
 HDは拡散現象、HFは濾過現象、ゆえにHDは分子量の小さい物質の方がより多く移動(除去)できるのに対し、HFは基本的に分子の大きさに関係せず、濾過するお湯の量のみに依存する方法と言えます。ゆえにHDではなかなか除去できない分子量の大きな尿毒素までHFやHDFでは治療域となるわけです。
 HDとHFのいいとこ取りした方法がHDFですが、ここで問題となるのがお風呂へ注ぎ込む新たなお湯の量(正確には置換液量)でした。この量が多ければ多いほどより多くの毒素を除去できる反面、濾過して除去した分、置換液で同量の置換(補液)をせねばなりません。滝のように置換液(サブラッドという専用の薬剤、1袋1リットル)を流せば可能は可能ですが、もし仮に24リットル置換として、1時間で6袋、4時間で24袋の置換液(点滴みたいなもの)を毎回毎回用意せねばならなくなります。24袋の点滴が一人の患者さんの周りに吊り下げられている光景を想像してみてください。ひどいですよね。またあまりに煩雑かつ高コストでもありました(このやり方は機械と点滴が別なので、オンラインではなくオフラインHDFと呼ばれます)。
 一方、このオフラインHDFでの置換液(点滴みたいなもの)の代わりに、これまでHDで使用していた透析液をウルトラピュアな液(ここが最重要)とすることができ、血管内へ直接注入することが可能なレベルまでピュアな液を作成できるなら(HD時の半透膜;ダイアライザを経由して血液と接する本来の透析液使用ではなく)、元来透析液は1分間に500cc、4時間で120リットルほど作成されて使用されているため、この一部を置換液として使用しても良いことになり、40〜50リットルまでなら訳なく供給できる、この透析液の一部を透析液としてではなく、置換液として使用して行おうというのが、オンラインHDFです。オンラインHDFを行うには上述の如く透析液の水質をウルトラピュアにすることが必須で、そのことだけでも単なる透析とは異なり、サイトカイン発生率の軽減などに繋がる可能性も示唆されています。

 人工透析ひ尿器科じんけいクリニックでは平成27年8月からこのオンラインHDFを厳重な水質管理の下で導入開始し、平成28年10月には全ての透析患者さんへ施行可能となりました(あえて施行していない患者さんもおります)。多くの患者さんは、臨床的には透析中の血圧が下がりにくく、シャント閉塞率の減少、動脈硬化の軽減、感染症への抵抗力の増大、透析アミロイドーシスによる痛みの軽減(少なくとも新たなアミロイドーシスの軽減)、食欲の増進、貧血の改善(エリスロポエチン製剤の使用減)、かゆみや、いらいら足の軽減、皮膚乾燥や皮膚色、髪の毛の艶の改善など、様々な効果が期待され、また実際に報告されてきています。当院では今後も積極的にオンラインHDFを含めたウルトラピュアな透析液を使用した透析治療を推進し、縁あって当院で透析治療を受けられておられる患者さんへは、最善最適と思われる治療を提供すべく、日々さらなる精進を積み重ねてまいる所存です。

シャントPTAのご案内

 比較的隣接した、時に全く離れた動脈と静脈との間に、直接、時に人工血管で、あえて非生理的な長径5〜10mmの瘻孔を作製する手術をシャント手術と呼びます。
動脈は単位時間あたりの血流が多い反面、全て筋膜の下に存在するため、見えにくい、ゆえに刺しにくい、抜針後の止血がしにくいという面があり、一方静脈は血流は少ないものの皮下の静脈であれば容易に視認可能、ゆえに穿刺が容易、抜針後の止血も容易といった面があります。約50年前、この手術が開発されたことで、それぞれの長所を生かし、解剖学的に穿刺しやすい静脈に流れの多い動脈血をショートカットし流入させることができ、結果として100~200mL/分の体外循環血液量を安定して得ることが可能となったのです。
血液透析を長期的に継続可能とした人類の英知でした。
 しかしそこにはまた新たな問題がありました。そう、シャント手術は非生理的なのでした。そのため(とは断言できませんが)、一度作製しても徐々に静脈内に狭窄が発生し血液量が低下したり、時に完全に閉塞したりすることも当初から稀ならず認められました。小生が医師となった平成2年では一度作製したシャントが駄目になれば、また違う部位で再作製する以外に方法はありませんでした。しかしこの15年ほどは、この狭窄部を血管内からの風船で膨らませ内腔を拡張させることで、今のシャントを永くもたせうる方法が普及してきました。いわゆる経皮的血管拡張術(PTA)です。基本的な手順は下記の如くで、手術時間は30分〜1時間程度、全例日帰りで施行可能な手技です。

① 皮膚を切開することなく、血管内に外径1.3mmほどの針(アクセスシース)を刺入
② シースから造影剤を血管内注入しレントゲン高速撮影で狭窄部の位置、程度を確認
③ シースからガイドワイヤーを挿入し、押しと回転の組み合わせで狭窄部を通過させ
④ これをガイドに風船のついたカテーテルをレントゲン透視下に誘導
⑤ 狭窄部で風船を直径4~6mm、内圧2~10気圧程度、1~2分×1~2回で拡張させる

 以上のような手技ですが、当院では小生が関連の石井病院アンギオ室で年間50件ほど施行し、結果も良好です。

 比較的最近施行した患者さんの手術前後の血管造影写真です。左橈側皮静脈に2か所ほど著明な狭窄を認めましたが、術後はきれいに拡張されています。
手技的には簡単でもあり難しくもあり奥の深い手術ですが、拡張しすぎない、ほどほどの拡張の方が結果が良いという印象があり、今後も必要な患者さんには、ほど良いタイミングで過不足なく施行していきたいと考えています。
PAGE TOPへ